KDX200SR ウインカーリレーの破壊と再生 280408

KDX200SR ウインカーリレーの破壊と再生


以前、サブランプの取り付けとともにウインカーの移設を行ったのですが、その後から、ウインカーが正常に点灯しないというトラブルに見舞われました。
具体的な症状としては前後が同時に点灯し続けるというものです。
急遽ヤフオクやAmazonで純正パーツか代替品を探しましたが、6端子、前後交互点灯、交流電源という特殊仕様に対応しているのかわからず、
結局部品を買って修理することは断念しました。
時点で製作するという方針に切り替えるのですが、上記の特殊仕様に対応するにはちょっと頭をひねる必要があります。
要求仕様は、

1、ウインカーリレー用六ピンカプラから先のみで完結する互換のウインカーリレーとすること
2、交流に対応
3、サイズはなるべく小さくすること(収納スペースが全然ない)
4、前後交互点灯であるか、もしくは消費電力を抑えること
5、点灯周期は1〜2Hzとすること(保安基準)

2の交流対応というのが問題で、点滅機能をもたせるためにはタイマが必要ですが、交流で動きそうなタイマーはサーマルリレーしか知りません。
ですが、入手もしにくそうですしあまり使いたくありません。となるとタイマICなどを使うことになるのですが、これらは直流が必要ですので、整流回路が必要です。
もうひとつの制約として、電球は交流で点灯するため、スイッチングには交流を流せる素子が必要になります。

直流電源の確保にはLEDに使った直流電源回路を使いたいがウインカーリレーの電源供給はウインカースイッチから来ているので配線が面倒だしカプラ以外から線を持ってくるのは美しくない・・・
車体の回路自体を直流化するか・・・それも面倒だし、車体にアースをとっている場合半端整流に限られるから電力不足とかも心配・・・かといってバッテリーを置くスペースもない・・・

結局、ウインカーリレー回路に整流回路を設け、555で1.5Hzの矩形波を出力してトランジスタをスイッチングし、交流を扱うための機械式リレーを駆動する
という妙なハイブリッド構造のウインカーリレーとなりました。

電球をダイオード入りの自己点滅LEDにしてしまうという考えも出ましたが、自己点滅LEDの周期が短すぎることと、明るさを確保するために複数使った場合点滅のばらつきが心配なこと、
第一、ウインカーリレーを治すわけでもなく、整流する手間が省けるわけでもないので対したメリットがないということであえなく却下されました。

配線図を読んで回路を考えます。なるほど、スイッチから電源が来てるから、リレーのNCとNOで前後をわければ交互点灯ができるから簡単だな。
などと考えながらVer.1の回路が完成させ、取り付けましたがリレーのオンオフがやけに早く、うまくいきませんでした。
自分が作る回路は一発目からうまくいくことなど滅多にないというのはよくわかっています。

配線図を読み直すと、ウインカースイッチが電源を左右に振り分け、左右の電球を通った後、ウインカーリレーを通してグランドに落ちています。
普通は電源の最も上流にリレーがあり、スイッチで左右に切り替えていますが、なぜだかこのバイクはこのような回路になっています。
インジケータをつけるにしても、リレーが三回路開閉できるものなら一般的な回路で対策できるはずですし、意図が理解できません。

ここで、疑問が発生します。ターンシグナルインジケータランプ(ウインカーの点灯を運転者が確認するメータ周りのランプ)は、ウインカーリレーから出た線につながれ、グランドに落ちています。
リレーから得られる電源はすべてウインカーランプを通ったものです。つまり、確実に電圧降下が起きた電源なわけで、インジケータランプに12Vを供給することはできないということです。
もちろん定格12Vのランプが直列につながれば光らせることはできますが、ウインカー用とインジケータ用のランプではワッテージが10倍ほども違うので、
そんなことをすればウインカーは壊滅的に暗くなるはずです。
にもかかわらず純正ウインカーリレーはこれまで正常に動作していたので、私の到底知りえない技術によって何とかしているのでしょう。誰か知っていたり、こうではないかと考える人がいたら教えてください。

純正ウインカーリレー。 分解してみたが樹脂で固められていて詳細は不明だった。

うまくいかなかった原因は、このわけのわからない構成のせいでリレーを閉じてランプに通電すれば回路のVccの電位が0になってリレーを閉じていられなくなり、リレーが開けば電位が回復してリレーが閉じ、自ら電源を切るということが繰り返されるからのようです。

回路の変更で対策できるか考えましたが、リレー内で電位を確保するにはランプに直列に抵抗を入れるほかなく、明るさを犠牲にして無駄な熱を得ることになってしまい、意味がありません。
配線の繋ぎ変えでランプをリレーの下流に配置することも難しそうなので、やむを得ず要求仕様1を切り捨て、リアウィンカーの電源側に分岐ケーブルを左右それぞれ噛まし、
ランプと並列に回路の電圧が得られるようにしました。
ダイオードを二つ使って左右の電源を個別に半端整流し、一つの回路に入れるという変な構成ですが、そうでもして絶縁しなければ左右が同時に点灯することが避けられないのです。
さらに手持ちのリレーは二回路のものだったため、インジケータを点灯する回路を追加することはできませんでした。



なにはともあれここまですれば電源の問題は完全に取り除かれ、確実に動くはず。
と思ったのですが、なぜかまたもや不具合が発生しました。リレーは正常なタイミングで開閉しているので、回路に問題はありません。
にもかかわらず、リアウインカーが点滅せず点きっぱなしになるのです。

しばらく考えてもわからずなかったので、その日は作業を終えました。 別の日、半ばヤケで「おまえがなんとしても消えないなら、こちらはなんとしても消してやろう」と、まずはリアウインカーのグランドを引っこ抜きました。どうだ、手も足も出まい。
しかし、まだリアウインカーは光っています。一瞬意味が分かりませんでしたが、なに?もしかしてどこからか漏電(というのか?)しているのか?と考えました。
フレームにテスターを当てるとウインカーのマウントはアースが取られています。

なんて設計だ!グランドを開閉して点滅しているのにバイパスして車体に落ちてしまったら意味ないだろ!ん?じゃあ純正ウインカーはなぜ正常に動作してたんだ?
などと考えたところで、ウインカーの取り付け位置からイモヅル式に一連の事件の真相が見えてきました。
リレーのマウント位置がウインカー移設前はプラスチックのカウルであったこと、そこから鉄ステーにマウント位置を自ら変えたこと、その後からウインカーリレーの異常が発生したこと、
つまり、ウインカーリレーをバイパスしてグランドに落としたのは自分であり、そもそもリレーが壊れた原因はそのせいでショートしたからであり、自分の仕業であるということ。

ペットボトルのふたで作ったプラスチックワッシャで鉄ステーと絶縁して、
ようやくサイズがでかくてインジケータが光らなくなったウインカーリレーへの望まないデチューンにケリがつきました。


ギリギリ収まったものの、正面から見るとハミ出しているタッパー。







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