280618
スチームエンジン一号機

エンジンを作ってみたい!という気持ちは前からありました。
ある日、何も考えずにエンジンを作るとしたらどうなるだろう、と3DCADで部品を作っていきました。
が、「カムは?」「バルブは?」「それらをクリアしたとしてキャブとか点火は?」とたちまち計画は暗礁、もとい岸に乗り上げてしまい、
じゃあスターリングエンジン、真空エンジンと計画は簡単そうなものに修正されていき、最終的にスチームエンジンに落ち着いた、というのが製作の経緯です。

スチームエンジンといってもいろいろ形式はありますが、一作目は動作が安定していそうな複動式のものを作ってみることにしました。
上記の理由から複動式機関の概略図をそのまま三次元にしたような設計です。
なるべく手工具だけで作れるような構造にしたかったのですが、単純な材料、簡単な工具で作れる設計が私の経験値と頭脳では浮かばず、
キチンと作れなくてアルミのゴミになるのは避けたかったので、結局大学の卓上CNCフライスに汎用フライス、汎用旋盤を使った、
パワーですべてを解決するような工程となりました。
一応、材料はホームセンターで買えるようなものになっています。

ついでにある程度条件を変えて実験できるよう、ピストンロッドを前ネジにしてピストンをナットで締めて固定し、位置をずらせるように、
バルブ用クランクとパワーピストン用クランクは皿ネジを締めた摩擦力で固定することでクランクの位相を自由にずらせるようにしました。
さらにストロークを四段階に可変できるようコンロッド取り付け穴を四つ開けました。 本来は一本のネジで締めてしまうとトルクがかかったときに緩むためよくないとは思いますが、他に簡単に角度を変えて取り付けられる方法が思いつかなかったので。
信頼性が必要なものでもないですから。
3DCADで設計します。CADを使うほど複雑な形状でも大規模なものでもないかもしれませんが、
頭を整理するのに加え、完成予想を見られることでモチベーションが上げてくれる効果があると思っています。 あと作業が遅いのでデータにしておかないと紙をなくしたりしますから。
CADをするのがカッたるい場合は図面も書かずに作り始めますが大抵なにかミスがあります(当然)。
レゴやタミヤ系工作キットなどで遊んでいたときについた癖だったりするのでしょうか、あの類の遊びは思いついたら試作、うまくいかなければ分解して改善の繰り返しなので。
こいつはCADを使ったにもかかわらずエンジンのマウントを作っておらず、急遽適当な木片を加工してなんとかしているのですが。

製作にとりかかります、が、使用している機械が一般的じゃないので参考にはならないと思います。
・ピストン、コンロッド、クランク、パワーシリンダのキャップをアルミ板からCNCフライスで切り出し
・パワーピストン側ピストンロッドを3mmアルミ丸棒の両端に旋盤でおねじを切る
・二つのシリンダをアルミパイプから切り出し、旋盤で長さをそろえ、フライス盤で吸排気ポートをあける
・シリンダをつなぐパイプ(エキゾースト&インテークパイプとでもいうのか)を切り出し、シリンダの側面に密着するようシリンダと同じ径のエンドミルで端面をRに仕上げる
・シャフトと10mm丸棒から、フライホイールを適当な鉄の丸棒の端材から切り出し、端面にネジ穴等をあける
・ピストンロッドとクランクのジョイントを六ミリ角棒から切り出しフライスで穴あけ
以上です。
おそらく、端面がRのパイプ以外はミニ旋盤一台とボール盤があればすべて作れるでしょう。 組み立ては基本的にネジ止めですが、シリンダと吸排気パイプはネジを取り付ける余地がないので接着剤でつけます。

完成しました。
さすがにすべてを機械加工しただけあって、自分が作ったにしては整った仕上がりです。
初めは息を吹き込んでみると、非常に効率が悪いようで、肺の頑張りに対して回転は重かったのですが、
パワーピストンのストローク調整を一段短く(最長では上下死点で吸排気ポートにピストンが半分かぶっていた)したことで改善されました。
バルブピストンとパワーピストンのタイミングは90度が最適のようです。少しずらしたりしてみましたが、回転が重くなる以外の感想が得られませんでした。

フライホイールがだいぶ小さいせいか、蒸気が少ないとピストンは動こうとするのですが回転が始まりません。
上死点で吸排気ポートの穴径よりもバルブピストンの厚みが小さくなってしまっているのでそこから圧が抜けているせいかもしれません。
いっそ両方が閉じるか開くようにしておいたほうがいいのかもしれません。機会があればやってみます。
動画を載せたいのですが、汚いガスコンロが写っていてためらわれるのでインスタ映えのするボイラーを作ったらアップロードします。






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